「飼い犬が人を噛んでしまったとき、どうすればいい?」
「飼い犬が友達を噛んでしまったとき、どうお詫びすればいい?」
このような疑問を抱えていませんか?
飼い犬が人を噛んでしまったとき、申し訳ない気持ちやどうしようと焦る気持ちでいっぱいになりますよね。
しかし事前に対処法を知っておくことで、もし自分の飼い犬が人を噛んでしまった時にすぐに対応が出来るため、大事にならずに済むでしょう。
そこで今回は、飼い犬が人を噛んでしまった時の対応方法について解説していきます。
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飼い犬が人を噛んでしまう事例は年々増加中
環境省の調べによると、犬の噛みつき事故は2019年まではそこまで多くなかったものの、2020年から急激に増加しているようです。
(出典:楽天保険の総合)
なかでも嚙みつき事故の約9割は飼い犬によるものであり、事故の要因として最も多いのは、”リード有での噛みつき事故”です。
他にも、”他人が飼い犬を撫でようとしたら噛みついた”、”飼い犬がビックリして咄嗟に嚙みついた”といった事例もあるため、いくら飼い主がしつけをしていても、飼い犬が人を噛むことを余儀なくされることもあると言えます。
したがって、飼い犬に対して噛まないようにしつけをすることはもちろんですが、飼い犬が人を噛んでしまったときは何よりも迅速な対処をすることが、いちばん望ましいといえるでしょう。
飼い犬が人を噛んでしまった時の対応方法
では、もし飼い主が人を噛んでしまった時の対応方法をご紹介いたします。
対応方法については、各自治体によって多少異なるため、今回は”東京都の場合”でお伝えします。
流れとしては、以下の4STEP。
- 相手方の応急処置
- 咬傷届を提出
- 獣医師の治療
- 相手方の治療費や慰謝料の支払い手続き
1.相手方の応急処置
いちばんは相手方の応急処置です。
怪我の度合いによっては、一刻を争う事態かもしれないため、すぐに救急車を呼ばなければいけません。
また再発を防止するためにも、噛みついた犬と相手方の距離をとっておきましょう。
2.咬傷届を提出
相手方の応急処置が済んだら、咬傷届を提出しましょう。
飼い犬が人に噛みついたり危害を加えたりした場合、噛みつき事故が発生してから24時間以内に咬傷届を提出することが義務付けられています。
提出先は、事故が起こった場所によって異なるため、詳細は東京都保健医療局の公式サイトでご確認ください。
3.獣医師の治療
咬傷届を提出したあと、狂犬病の疑いがないか獣医師による治療を受けましょう。
こちらも迅速な対応が必要で、噛みつき事故が発生してから48時間以内に対応しなければなりません。
獣医師による狂犬病の検査が終了したあと、診断書や狂犬病鑑定書といった検査結果をもらうため、必ず保健所に提出してください。
なお、噛みつき事故が発生した年度内で狂犬病予防接種を打っていなかった場合は、獣医師の指示に従い、すぐさま狂犬病予防接種を受けることが義務付けられています。
4.相手方の治療費や慰謝料の支払い手続き
相手方が怪我や病気をしている場合、治療費の支払い手続きを済ませておきましょう。
治療費は、基本的に相手方が10割負担となります。
しかし、国民健康保険に加入している場合は傷病届を提出することで、負担額を軽減させることも可能です。
さらに噛みついた犬の飼い主は、相手方に慰謝料を支払わなければならないこともあるでしょう。
慰謝料の相場は、怪我の度合いにもよるため一概には言い切れません。
ですが、後遺症が残るような大きな怪我の場合は500万円~1,000万円を超える可能性も十分考えられます。
万が一、相手方が亡くなってしまった場合はそれ以上です。
なお、治療費や慰謝料の請求額については、後で見返せるように必ず書面として残しておいた方が良いでしょう。
もしも相手方とトラブルがあった際に、形として残っているものがあれば、証拠になりますからね。
飼い犬が人を噛んだ時、飼い主は罪に問われる場合がある
飼い犬が人を噛んだ時、飼い主には”民法上の責任”もしくは”刑法上の責任”のどちらか、または両方の罪に問われる場合があります。
事故の状況によってどの罪に問われるかは異なるため、この記事では一概に言えません。
以下に、民法上の責任での罰則、刑法上の責任での罰則をまとめました。
1.民法上の責任
飼い犬が人を噛んで怪我をさせた場合、基本的には刑法上の責任が問われますが、民法上の責任を問われることもあります。
なぜなら民法によると、”飼い主は動物の占有者”であるため、もしその動物が人に危害を加えたり怪我をさせたりした場合は、飼い主には”治療費”、”慰謝料”などの損害賠償を支払う義務があると定められているからです。
ただし民法には、損害賠償金の具体的な金額は決まっていないため、相手方と話し合って決めたり裁判をたてて決めたりする、という事例が過去にありました。
2.刑法上の責任
続いて、刑法上の責任の場合です。
状況 | 罪名 | 罰則 |
飼い主が犬をけしかけた場合 | 傷害罪 | 15年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
飼い犬がうっかり噛んだ場合 | 過失傷害罪 | 30万円以下の罰金または科料 |
飼い犬が人を死亡させた場合 | 過失致死罪 | 50万円以下の罰金 |
飼い主が注意を怠った場合 | 業務上過失致死傷等罪 | 5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金 |
状況によって、課される罪名や罰則に大きな違いがあります。
飼い犬の思わぬ事故が原因で、飼い主に重い罪が課せられることにならないよう、日頃からしつけをしたり、万が一のために”個人賠償責任保険”に加入したりと、対策をとっておきましょう。
飼い犬が人を噛んでも、焦らず対処しましょう。
今回は、飼い主が人を噛んだときの対応方法について、解説させていただきました。
飼い犬が誰かに危害を加えてしまったとき、ものすごく焦ってしまう人は多いことでしょう。
しかし、今回お伝えしたように、ステップごとに対応していけば何も焦る必要はありません。
また、万が一に備えて”個人賠償責任保険”の加入も検討しておきましょう。
大好きな飼い犬がトラブルを引き起こさないためにも、しっかりとしつけておくことは、飼い主として大切なことです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。